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ずっと願っている事

 イースト・リバーの夕日を見ながらマンハッタンに戻ると、もう、夕食の時間。たまにはヴェトナム料理もいいな、と、ダウンタウンのお気に入りのヴェトナム・レストランに直行。


 

 ヴェトナム料理は癒し系。思わず「ホッ」としてしまう味の秘密は何だろう。

 メインとして使う香辛料も違うし、塩、コショウの振り方だって、日本料理とは根本的に別なものだ。特に甘み、辛みに関しては、かなりの隔たりがある。なのに、僕を癒す要素が多分にあるのだ。

「アジア」というワンワードで括る気は毛頭ないが、言葉としての表現より遥かに深いところで、DNAの共通点を感じる。

 ビールの味ひとつをとっても、似たような事が言える。明らかに、アングロサクソン系とは違う特色を、アジア圏のビールは持っている。

 その特色をあえて表現すると「味わい深い」の一言につきる。

 「源料が違うから当然だ。」との意見に反対することは馬鹿げた事だ。まさに、その土地で収穫された原料こそが、それぞれの味を決定する。

 もしも、僕が、アングロサクソンだったら、全く反対の事を言っているだろうとは、容易に想像出来る。

★ ★ ★

 ヴェトナム風ステーキ丼にすっかり癒された僕は、チェックを済ました後レストランの外に出て、香辛料で火照った体を、ニューヨークの冷たい風にさらしてクールダウンしていた。

 その時だ、一人のアメリカ人の女性に声を掛けられた。

 「ユー ガイズ フロム ジャパン?」

 (あなた達、日本人よね。)

 「アイ リコグナイズ ユー!」

 (あなた達の事、しってるわ!)

 「アイ キャン シング オンリー ユア ソング イン カラオケ!」

 (私が唯一カラオケで歌えるのは、あなた達の曲よ!)

 僕は、ちょっと意地悪く、彼女にリクエストした。

 「ゼン、ショウ ミー、 エニシング ユー キャン。」

 (それじゃー、なんでもいいから、歌ってみてよ。)

 すると、驚くほど綺麗な日本語の発音で、彼女は歌いだした。

 「ネードーシテー スウーゴクースゴーク スキナーコトー・・・」

 聞くところによると、彼女は5年間、日本で英語を教えていたらしい。その時に覚えたのが、ドリカムの「LOVE LOVE LOVE」なんだそうだ。

 もちろん、僕らのバンド名も、「なか」はもちろん「よし」でさえも名前は知らなかったが、歌は完璧に歌えるのだ。しかも空で。

「これは、すごい!」

 マサに僕が、ずっと願っている事だ。

 僕が誰かなんてどうでもいい。バンド名なんて分からなくても良い。僕らが生み出した歌を、世界中の人たちが口ずさんでくれることこそが、僕の究極の夢なんだ。

 「500万枚、売りてぇー!」とか、「グラミー賞、取りてぇー!」とか、デビューした時からギャーギャー言い続けてるが(残念ながら、まだどちらも、叶えるには気が遠くなるほどの道のりがあるけど、)それもこれも、この究極の夢のための一つの目標として掲げているのに過ぎない。

 「僕らの音楽が、いつかあなたの心に触れます様に。そして、あなたの心の中で、ずっと生き続けますように。」

 「イイニクシングル」の曲達が、そうであるよう、強く強く、願う。

 そんな訳で、なんだか、とっても、嬉しいハプニングがあった夜でした。

 あれれれー、気分が良いから、なんか、曲が出来そうだ!

 そうだなぁー、タイトルはぁー、うん!

「うれしい!たのしい!大助花子!」