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「もう12月だよねー。今年の紅葉は、どうよー?」

「こうよー!」

 黄色、オレンジ色、赤色の、余りにも見事なグラデーション。

 紅葉した木々を見る度に、「自然の神様は、なんてすんごい芸術家なんだろう。」と、感動が深過ぎて、ため息になってしまう。

 人間がどんなに頑張っても、世界中の紅葉を完全にコーディネイトするなんて不可能だ。(だって、へたくそなカラーリングの紅葉なんて出会った事が無いよねー。)その不可能を可能にしてしまうのが「自然の神様」だ。

★ ★ ★

 さて、僕の「音楽の神様」。あの方は、時々、僕の理解を超えた事をする。

 今回は、僕にとっても、「ちっちゃい会社」にとっても、とても大切な仕事をひとつ、かなり土壇場でキャンセルしなすった。

 「神様ぁー!それだけは勘弁しておくんなせー!」と真面目にお願いしたが、聞き入れては貰えなかった。

「最近、なんか悪い事やっちゃったかなぁ?」

 僕の徳の積み重ねが足りなかったのか、日頃の行いそのものが悪いのか、(正直、両方とも、あまり自信が無い。)色々考えを巡らしてみたが、これほどの「バチ」を当てられる原因が思い当たらない。

「っていうことは・・・。」

 普段の僕では考えられないが、直ちに自家用ジェット機を運転、いや、操縦して、一気に東京郊外へ。紅葉にそまる山々を、どこという目的地も無く、走り、いや、飛び回る。

 すると、あら不思議。

 いつも見ているはずの景色が違って見える。いつも嗅いでいるはずの空気の匂いがする。いつも感じているはずの風の動きを感じる。そして、いつも聞いているはずの音が聞こえる。

「こういうことだったのか。」

 知らないうちに、僕は、音楽家として持っていなければならない大切な何かを置き去りにして突っ走って来たのかもしれない。

 こんなことでも無い限り、その事実に気付かなかったであろう僕のために、「音楽の神様」がチャンスをくれたのかもしれない。

 今年最後に見る紅葉のなかを走り抜けながら、心の中でそっと呟いた。

『音楽の神様、あざーっす。』