10月から予定していたツアーの中止を発表したのは、4月半ばのことだった。まだ半年以上の猶予がある中で、さらに、新型コロナウイルス感染の状況が良くも悪くもどうなるかわからないという中で、異例ともいえる素早い決断にエンタメ業界でも驚きの声が上がったほどだった。結果論になるが、夏場になっても一向に収まる気配の見えないコロナ禍の現状では、その決断の正しさが証明された格好だ。ただ、彼らの苦渋の決断は、そうした少し先の未来を予見して下したものでは決してない。ステージセットのプランニングや演出のクリエイティヴ、そしてパフォーマンスのリハーサルなど、ドリカム ・クオリティーをクリアして本番を迎えるまでに半年ほどの期間を要することを考えれば、すぐにでも答えを出さなければいけなかった。つまりそこには、常に100パーセントのものをオーディエンスに届けるというアーティストとしての信義に基づいての決定があったということだ。そこにこそDREAMS COME TRUEのエンタテインメントへの覚悟とファンへの誠実さを感じとることができる。
そして7月に入って発表されたのが、『DREAMS COME TRUE WINTER FANTASIA 2020 ‒ DOSCO prime ニコ生 PARTY !!! ‒』だ。各アーティストがライヴの生配信へチャレンジしている昨今、ドリカム が立ち上げるのは、オンライン・イヴェントだ。しかももともと実施する予定だったツアー日程の各土曜日に開催される。なぜライヴの生配信ではなかったのか、そしてどうして〝ツアー〟である必要があったのか。それは、リアルのツアーを中止にした決断と根っこは同じ理由による。つまり、100パーセントのショーこそがライヴだという基本姿勢と、楽しみにしていたツアーの中止を受け入れてくれたファンへの想い、その両方を汲み取った最適解がもともと巡るはずだった各地を意識したオンライン・イヴェントだったというわけだ。
ドリカム 32年目にして初となるオンライン・イヴェント。当然ながらどんなコンテンツが用意されているのか気になるところだ。この時点で判明しているものを挙げると、「ドリカムアコースティックライヴニコ生PARTYヴァーション」「ローカルDJコーナー」「TEMPURA KIDZのDJ P→★DJコーナー」「『DREAM CATCHER 3』よりS+AKS新パフォーマンス」などなど、となっている。とにかくコンテンツ山盛りのワクワク感が今から止まらない。中でも気になるのが、オンライン・イヴェント・ツアーに合わせてリリースされる作品『DOSCO prime』がキーになってくるコンテンツだ。まだまだブラッシュアップ段階の情報なので詳細は今後の発表を待ちたいが、イヴェントの制作と並行して作業が進められている同作は、ドリカムのヒットソング12曲にリアレンジを施してコンパイルした1枚だ。昨年、30周年記念イヴェントとして実施された『ドリカムディスコ』、通称『DOSCO』は、DJ P→★やKEITA(S+AKS)、それに各地のDJがそれぞれのスタイルでミックスしたドリカム楽曲をスピンするというディスコ・イヴェントだった。そこでの盛り上がりを受けて、ドリカム自身がドリカム楽曲をディスコ・チューンにリアレンジして世に放つという野心的な作品だ。アレンジも含めてDREAMS COME TRUEなんだ、というこれまで貫いてきたポリシーをかなぐり捨ててまで今回のリアレンジ作品に挑む彼らが示すのは、常に自らをアップデートしていく勇気だ。オール打ち込み、さらにはヴォーカル・エディットまで(!)施されているというから、ほぼほぼ新作、あるいはデビュー盤、と言っても過言ではないレベルの熱量を込めたものが出来上がろうとしている。そこで鳴っているドリカムがどんなものか、実際にその耳で確かめてみる以外にはないのだが、ヒントとなるのは、7月1日に両A面シングルとしてリリースされた『YES AND NO/G』だ。とくに『YES AND NO』のリズムトラックとシンセの音色は、ジャパン・カルチャーとして逆輸入されたような不思議な土着感を漂わせている。ドリカムのようでドリカムではないような、けれどドリカムにしかできない音がそこにあるのだ。この曲の方法論が『DOSCO prime』の12曲にそのまま用いられているわけではないだろう。ただ、意識の部分においてブレなく指し示している地点は、『YES AND NO』でチャレンジしたのと同じ、自らが自らを超えていくためのサウンドメイク、ではないかと思う。外部のトラックメイカーには決して分け入ることのできないドリカムの森の最深部にまで手を伸ばし、踊るというスタイルに特化させた今回の作品。もはや〝リミックス〟というよりも、改造を意味する〝コンバージョン〟という言葉がしっくりくるほどだ。今の時代に生まれ変わったドリカム・ヒットソングがどう響くのか、興味が尽きない。
それにしても、オンライン・イヴェントにしろアルバムにしろ、32年目にして初めてチャレンジするトピックが満載のDREAMS COME TRUE。その攻めの姿勢に、彼らが時代をこじ開ける音が聴こえてきそうだ。ちなみに、『DREAMS COME TRUE WINTER FANTASIA 2020 ‒ DOSCO prime ニコ生 PARTY !!! ‒』では、MCに吉田美和も登場する。わかる人にはわかるが、ライヴ以外で吉田美和が表に出てくるのはレア中のレアだ。はっきり言って事件です。控えめに言って、絶対見た方がいいと思うんだ。
谷岡正浩
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2020年10月17日(土) 19:00 open 20:00 start
幕張イベントホールのはずだった編
2020年10月24日(土) 19:00 open 20:00 start
さいたまスーパーアリーナのはずだった編
2020年11月7日(土) 19:00 open 20:00 start
大阪城ホールのはずだった編
2020年11月21日(土) 19:00 open 20:00 start
よつ葉アリーナ十勝のはずだった編
2020年11月28日(土) 19:00 open 20:00 start
北海道立総合体育センター
北海きたえーるのはずだった編
2020年12月5日(土) 19:00 open 20:00 start
広島グリーンアリーナのはずだった編
2020年12月12日(土) 19:00 open 20:00 start
横浜アリーナのはずだった編
2020年12月19日(土) 19:00 open 20:00 start
マリンメッセ福岡のはずだった編
2020年12月26日(土) 19:00 open 20:00 start
日本ガイシホールのはずだった編
配信メディア
ニコニコ生放送
DREAMS COME TRUE
ピストン西沢
(幕張、さいたま、横浜)
S+AKS
P→★
(TEMPURA KIDZ)
JUON
武藤良明
本間将人
中島ヒロト / FM802(大阪)
龍太 / AIR-G’(十勝・札幌)
キムラミチタ / 広島FM(広島)
BUTCH / FM FUKUOKA(福岡)
コウズマユウタ / CROSS FM(福岡)
南城大輔 / ZIP-FM(名古屋)
吉田美和、中村正人の「生」MCで「ゆるみ」「ガチャみ」に進行。
各公演参加ベイビーズとリアルタイムで繋がれるのも
「ニコ生」オンライン公演だから。
吉田美和公式ダンスチームでありDOSCOイヴェントプロデューサー「S+AKS」5人によるNEWアルバム「DREAM CATCHER 3 〜 ドリカムディスコ MIX COMPILATION」をフィーチャーしたパフォーマンス、DOSCOオフィシャルDJ・P→★(TEMPURA KIDZ)のスペシャルミックスパフォーマンス、
DOSCO公式エリアラジオDJ も参加!
さらに、ドリカム史上初の2大コンテンツが登場!
その1「あっちのドリカム・コーナー」
最新シングルから『G』と、DREAMS COME TRUE NEWアルバム『DOSCO prime』収録12曲の中から2曲、計3曲(そのうちの1曲は各公演のみ)を、「あっちのMIWA、MASA、ドリクマ、ワルクマ」が
オリジナル・ヴァーチャルステージでパフォーマンス。
その2「こっちのドリカム・コーナー」
ブルーノート東京で収録された『DOSCO primeアコースティックライヴ』18曲から各公演2曲ずつ披露。
参加ミュージシャン
A.Guitar:武藤良明、JUON A.Piano:本間将人 シークエンス:上甲敬太
E.Bass:中村正人 Vocal:吉田美和
楽しみでしかない約120分!
オンラインならではのベイビーズそれぞれの環境で「ドリカムで遊べ!ドリカムで踊れ!」
以下より、映像でチケット購入方法、視聴方法をご確認いただけます。
| チケット |
特別前売チケット 販売終了いたしました
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ネットチケット |
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| ニコニコ・ 一般会員 |
ニコニコ・ プレミアム会員 |
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| 価格・内容 |
¥3,800(税込)
「紙チケット(シリアルコード入り)」 ※番組をご視聴するには、番組ページに入り、紙チケットに記載してあるシリアルコードを入力し、認証する必要がございます。番組開始直前のシリアルコードの認証は、アクセス集中により、システムの不具合やエラーが生じる可能性があるため、開演日前日までに認証することをおすすめします。 |
¥3,000(税込) ※紙による発券はございません。 |
¥2,400(税込) ※紙による発券はございません。
※ニコニコ・プレミアム |
| スマートフォン・タブレットでご視聴するには 「ニコニコ生放送」アプリのダウンロードが必要です。 |
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| 販売期間 |
2020年9月1日(火)10:00〜 販売終了いたしました
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2020年9月1日(火)10:00〜 |
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| チケット販売窓口 |
● DCTgarden SHOPPING MALL
※販売先ごとに決済手数料や送料が異なります。 |
● ニコニコ生放送
※ご購入には、ニコニコ会員へのご入会が必要です。 |
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| 視聴期間 |
公演終了後、3日間タイムシフト視聴(アーカイブ)をご利用いただけます。 |
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¥3,800(税込)
「紙チケット(シリアルコード入り)」
+
「スペシャルロゴTシャツ(フリーサイズ)」付
1公演/ 1シリアルコード
※お申込者ご本人に限る
※番組をご視聴するには、番組ページに入り、紙チケットに記載してあるシリアルコードを入力し、認証する必要がございます。番組開始直前のシリアルコードの認証は、アクセス集中により、システムの不具合やエラーが生じる可能性があるため、開演日前日までに認証することをおすすめします。
スマートフォン・タブレットでご視聴するには「ニコニコ生放送」アプリのダウンロードが必要です。
2020年9月1日(火)10:00〜
2020年9月6日(日)23:59
● DCTgarden SHOPPING MALL
● UNIVERSAL MUSIC STORE
● 楽天BOOKS
● Amazon
● HMV&BOOKS online
● 全国のローソン、ミニストップの店頭の「Loppi(ロッピー)」
全国のHMV店頭 (あべのキューズモール、HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE、HMV record shop3店舗を除く)
※販売先ごとに決済手数料や送料が異なります。
※紙チケットとスペシャルロゴ入りTシャツは、公演の7日前までに各販売元から送付されます。
ニコニコ・一般会員
¥3,000(税込)
ニコニコ・プレミアム会員
¥2,400(税込)
※紙による発券はございません。
※ニコニコ・プレミアム会員の価格はニコニコ・プレミアム会員限定となります
スマートフォン・タブレットでご視聴するには「ニコニコ生放送」アプリのダウンロードが必要です。
2020年9月1日(火)10:00〜
各公演2日後
● ニコニコ生放送
(ニコニコポイントで購入するチケット)
※ご購入には、ニコニコ会員へのご入会が必要です。
※会員登録後、ニコニコポイントをご購入。
その後、ニコニコポイントを使ってチケットをご購入ください。
公演終了後、3日間タイムシフト視聴(アーカイブ)をご利用いただけます。
ニコニコ生放送が視聴できるかどうかを使用される端末
(スマートフォン、タブレット、パソコン)にてご確認ください。
下記の番組が正常に映ればニコ生を視聴するための環境が整っています。
ニコニコ生放送アプリ(無料)をダウンロードしてからご利用ください。
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◯ iOS 11.0 以降
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[OS] Windows8.1、10
[ブラウザ]
Microsoft Edgeの最新版(正式版)、Firefoxの最新版(正式版)、Google Chromeの最新版(正式版)
[OS] macOS High Sierra、macOS Mojave、macOS Catalina
[ブラウザ]
Mac版Safariの最新版(正式版)、Firefoxの最新版(正式版)、Google Chromeの最新版(正式版)
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営業日:月・火・金・土・日/祝日営業(水・木:定休)
営業時間:※15時〜20時迄
営業始日:9月1日(火)より12月28日(月)
電話番号:0570-021-061(ナビダイヤル)
メール対応:help_wf2020@dctgarden.com (24時間受付 / 3営業日以内の返信を目安といたします)
ようやく聴けた――。
そこにはいろいろな意味が含まれるのだが、まずは、ダンスミュージックに特化させたベストセレクション盤に着手しているという情報をキャッチしていたので、いったいどんなものになるのか気になって仕方がなかった。だから、ようやく聴けた。
そして以前から、DREAMS COME TRUEの名曲たちをガッツリREMIXしたら相当面白いものになるんじゃないか、と勝手に思っていた。そういう意味で、昨年30周年の一環で行われた『ドリカムディスコ』、通称DOSCOというイベントは画期的だった。だから単純に、ドリカムの名曲がダンスミュージックに生まれ変わったものが、ようやく聴けた、ではあるのだが、果たして今回の12曲はREMIXという範疇に収まらない、こちらの想像を遥かに超えたものだった。
REMIXの定義うんぬんは置いておくとして、この作品の重要なポイントは、DREAMS COME TRUE自らが自らの楽曲をDNAレベルまで分解し、再構築していったということに尽きる。外部のアーティストやトラックメイカーに委ねるのではなく、自らが生み出した楽曲(しかもどれもが超ヒット曲)を違う形で再生させるというのは、精神的にかかるプレッシャーも含めて相当難易度の高いものだということは容易に想像できる。例えば、一人称で書いた小説を三人称にリライトするような、右投げのピッチャーが左投げにスイッチするような、そういうあり得なさ、とでも言おうか。だからREMIXというよりも、変換や改造を意味するCONVERSIONと呼ぶ方がよっぽどしっくりくる。
では、なぜそうまでしてこの作品を生み出す必要があったのか。それは、DREAMS COME TRUEをより一般化させるためなのではないかと僕は思う。新たな次元、とか、さらなる発展という曖昧で大袈裟なことではなくて、ドリカムの名曲を名曲として永遠にパッケージするために必要なもうひとつのドリカム。それが〈DOSCO prime Version〉だ。各曲において、ドリカムの二人がどこに注力していたのか、どんな思いでクリエイトしたのか、何を伝えたかったのか――そういう原点が今回のヴァージョンでは抽出されて鳴っている。つまりそこが最大の聴きどころだ。もちろん音楽的なフックは山ほどあるので、様々な楽しみ方ができるのは言うまでもない。
DREAMS COME TRUEの真髄が、ようやく聴けた。
谷岡正浩
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原曲との対比において、コンヴァージョン的手法を認識するのにこの曲がもっともわかりやすい例かもしれない。もともとあったイントロのきらびやかなフレーズの裏を行くような出だしのベースラインの一部を発展させて用い、リズムは4つ打ちに、そしてバッキングで鳴るフルートのフレーズはシンセのエレクトリカルな音色に置き換えられている。しかしもっとも大胆に手を加えたのはヴォーカルだ。全編にわたって施されたヴォーカル・エディットは生歌との絶妙な境界線上で響く。まさに“こっち”と“あっち”のマッシュアップ的楽曲と言える。
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この曲を象徴するイントロ冒頭のフレーズは、原曲では実は頭の部分に一回しか使われていない。ところが、新ヴァージョンではイントロから4回繰り返され、しかもサビでもサンプリングされて用いられるというクドさ。いや、クドいというのはディスっているわけではない。クドさ(ループ)こそがダンスミュージックの流儀なのだ。アフロハウス風のトラックが、否が応でも気分を上げるこの曲、DJのつなぎの手捌きが見えるようなライヴ感満載の間奏から、後半の畳み掛けが“近づいてく 近づいてく”感がものすごい。
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もともと四つ打ちのハイパーなトラックが印象的だったこの曲。新しいヴァージョンでは、切なさが漂うエレクトリックピアノのイントロにキックの四つ打ちとハイハットがソフトランディングする。こう言ったら大阪の人に怒られるかもしれないが、大阪的コテコテ感を抜いて、歌詩に出てくる彼女(東京在住)の目線と心情によりクローズアップした新たなラヴソングといった印象。言うなれば『大阪LOVER 東京 MIX』といったところか。ヴォーカルのエフェクトは深めで、その無機質な感じもどこか東京感に通じるものがある。
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ストイックなベースラインにサビから合流するのは、ファンファーレのような80年代的シンセの音色。完全に最新シングル『YES AND NO』の流れにある1曲ということがわかる。過去曲が最新曲を通過して、また新たな命を吹き込まれる――サスティナブルとも言える幸福な音楽的循環が感じられる1曲だ。BPMは当然ながら原曲に比べ速いのだが、ライヴの体感としては、むしろ最新ヴァージョンの方に親近感を覚える。これもまた楽曲の進化の重要指標を表していると言えるだろう。
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2010年代初頭にディスクロージャーなどが切り開いた新しい流れをさらに発展させて、ここ数年、UKガラージ/2ステップが何度目かのリバイバルで盛り上がっているが、そんなトレンドを完全に射程にとらえたアレンジ(と僕は解釈しました)。オリジナルの本質を壊さず、ここまで曲の解釈を変更できるのは、単純な話、作った人がやっているから。オリジネーターの強さとしなやかさが曲に息づいている。今回の収録作品の中で、個人的にもっとも感銘を受けたアレンジだ。
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もしかしたら、89年当時に彼らの頭の中ですでに鳴っていた音像が、2020年になってようやく形にできたのでは――そのことをもっとも強く感じさせる曲。シンセによるオープニングの印象的なフレーズはそのまま残し、驚かされるのは、オリジナルを解体、再構築したベースラインだ。なんと言っても細かな配合がなされたであろうシンセベースの音色一発で勝負あり。間奏からブリッジ、最後のサビへの怒涛の流れが、強くフィジカルに訴えかける、プログレッシヴ・ハウス要素の強いチューン。
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Kaskadeやデヴィッド・ゲッタにも通じるディープなトラックが体を揺らす。闇の中を高速で疾走するような音像が歌詩の内容とリンクして、曲の持つ世界観をグッと押し広げていく。後半に出てくる〈何も起こらないように願って〉から始まるヴァース部分における、言葉のアタックとトラックのシンクロ具合がこの曲の真骨頂。そして大サビ明けにすっと闇が取り払われるような抜け感がクセになる。言葉と音の密な関係性を改めて感じる1曲だ。
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この曲が発表された2008年当時、ここで鳴っているビート感や音色は、まだまだポップスシーンの音ではなかった。だから逆に言えば、そのまま2020年のこのアルバムに入っていてもほとんど違和感がない。そんな曲をあえてセレクトしたところにアーティストの意地を感じてしまう。今回施されたアレンジは、ジャストで今鳴っている音だ。BPMを速めに設定したトロピカル・ハウス風のトラックは、曲のどこをとっても部分が全体を表すようにできている。チューンナップされたこの曲が今どう響くか、楽しみだ。
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2ステップのリズムを軸に、全体的に低音が強調されたミックスになっている。シリアスな雰囲気すら漂うこの曲でもっとも表現したかったのは言葉なのではないかと思う。あえて手数を多く費やしたトラックを当てて、グルーヴするノリのなかでヴォーカルと言葉を際立たせるという手法は、ファンクにも通じるものだ。そこにはもちろん彼らのルーツがあって、聴き応え十分なアレンジになっている。それにしても、“思いよ、逝きなさい”という言葉のインパクトは何よりも強力だ。
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イリアン・パイプス、チェンバロ、フィンガースナップなど、この曲の印象を決定づけているそれらの要素をすべて取り去り、ヒップホップソウル風のトラックにコンヴァージョン。「シンプル」の解釈の違いを示すことで、中心はあくまでヴォーカルという彼らの思想の揺るぎなさを証明する。後半、〈愛を叫ぼう 愛を呼ぼう〉のところでは、シタールやホーン、そしてエフェクティヴに加工されたイントロのあのフレーズがカラフルに鳴り始め、一転してサイケデリックな雰囲気をまとうのが面白い。
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DREAMS COME TRUEがおそらく初めて意識的に、彼ら流の「歌謡曲」に挑戦したのがこの曲ではなかったかと思う。そう考えると新しいヴァージョンもまた、2020年の歌謡曲、つまりR&Bもダンスミュージックもアニソンも高次元でミックスした「ポップス」を意識したアレンジとなっている。その意味で、今回収録されている他の曲に比べて、よりドメスティック色が強いと言える。2つの『未来予想図Ⅱ』のあいだに、日本のポップミュージックの歴史の流れを感じるのは決して大袈裟なことではないだろう。そして“未来予想図”という言葉が音楽それ自体を指し示していたという深読みも、今回ばかりは許されるような気がしている。
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すべてのマテリアルを分解し、並列にし、再構築してきたこのアルバムの試みが到達した地点がこの曲だとすれば、これ以上のハッピーエンドはないだろう。つまり、吉田美和と中村正人という2つの要素を思い切って抽出したアレンジこそがこちらのヴァージョンだ。改めて、日本文学にも引けを取らない歌詩には驚かされる。トラックがまるで情景描写のように言葉に寄り添い流れていく様は、音楽自体が映像をも含んだ総合エンタテインメントであることを思い知らされる。
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サブスクリプション
アーティストの枠を超え、常に国内屈指のエンターテイメントを届け続けるDREAMS COME TRUE(以下、ドリカム)。熱心なファンであれば、彼らのステージを支えるパフォーマー、S+AKSの存在はすでにお馴染みだろう。ダンサーという視点から、ドリカムのエンタメ性をさらに押し広げて来た彼ら。「黒ドリ」と称したプロジェクトを立ち上げ、「ドリであそべ!ドリでおどれ!」というコンセプトのもと、様々な挑戦を続けて来た。日本を代表するメジャーアーティストであるドリカムの楽曲をリミックスしたりミックスCDとして発表したり、または全国規模でのダンス・ショーケースやワークショップを主催したりなど、いわばオーバーグラウンドとアンダーグラウンドの文化的架け橋となって活動を続けて来たパフォーマーたちでもあるのだ。
そんな中、S+AKSが新たにプロデュースしたのが「ドリカムディスコ(以下、ドスコ)」というイヴェントだ。これまでの「黒ドリ」のコンセプトを継承しつつ、子供から大人まで幅広い人々の心と身体を躍らせたい、という気持ちからスタートした「ドスコ」。ドリカムの結成30周年イヤーという記念すべき節目のスピンオフ・イヴェントしても機能すると同時に、ドリカムのエンターテインメントを楽しんでもらいたいというコンセプトのもと、全国各地のDJがドリカムやそのルーツであるサウンドをミックスしながら作り上げるというクラブ・イヴェントの形で行われた。
そして、2020年になっても「ドスコ」は止まらない。5月と8月に、「ドリカムディスコ・アットホーム」と題して、オンラインの配信イヴェントとして開催されたのだ。5月に行われた第1回目イヴェントにおいてはなんと約10,000人の視聴者を集め、新たなパフォーマンスの場として大きな成果を残した。また、2020年秋からはDREAMS COME TRUE初のオンラインイヴェント「WINTER FANTASIA 2020 ‒ DOSCO prime ニコ生 PARTY !!! ‒」で新パフォーマンスを披露することもすでに決定している。
そんな中、急遽リリースが決定したのが本プロジェクトだ。これまでにDJ SAKUMAやDJ WATARAI、そしてDJ HAZIMEといった日本のヒップホップ・シーンを代表するDJらが参加し、生まれ変わったドリカムの楽曲をノンストップMIXという形でパッケージした『DREAM CATCHER』シリーズの最新作かつ集大成とも言うべき1枚でもある。ご存知の通り、2020年は新型コロナ・ウイルスが世界中で蔓延し、これまでとは全く異なる生活様式が求められた年でもある。人々が密集するイヴェントはことごとく中止となり、我々の生活は、他者との分離・隔離を余儀なくされるものとなった。今回の『DREAM CATCHER 3』のスペシャルなポイントの一つは、“世界や地域を繋ぐ結束力”でもある。DJ KEITA (S+AKS)のトラックでは、「YES AND NO」は神戸・姫路を拠点とする気鋭のラッパーであるShurkn Papが参加したリミックス、「何度でも」はジャマイカでアーティスト・ライフを送るレゲエ・シンガーのZendaManが加わったリミックス、そして「大阪LOVER」はアムステルダムの注目DJであるJENGIが、「SUNSHINE」はニューヨーク在住の日本人サウンド・クリエイターであるUkiがそれぞれリミックスを担当し、なんと世界4カ国にまたがるリミックス・プロジェクトとして本作に収録されることになった。
また、もう一つの聴きどころは、「ドスコ」には欠かすことのできないP→★ (TEMPURA KIDZ)、「ドスコ」の生みの親でもあるピストン西沢、そして各地の「ドスコ」にも参加した各エリアの人気ラジオDJによるスペシャル・ミックスだ。日本各地、それぞれのエリアの特色や想いを楽曲に反映させたいくつもの仕掛けが散りばめられており、ここでしか聴けないレアな音源に仕上がった。また、このミックス音源には全国各地の高校生ダンス部の課題曲も含まれることが決定している。コロナ禍のために練習や大会なども軒並み中止となり、行き場や目標を失っている高校生ダンサーたちも少なくない。こうした状況においても、彼らの青春を彩る大切な1ページをこの『DREAM CATCHER 3』が担うこととなるのだ。さらに、これらのピースを文字通り全て繋げていくのが、S+AKSのKEITAである。今作ではDJとして、世界中、そして日本中から集まった貴重な音源をノンストップの形式にしてまとめ上げている。本作を聴けば、ドリカムメンバー及び偉大なる名曲の数々に込められた大きなリスペクトを感じざるを得ないはずだ。
2019年、デビュー30周年と同時に4年に一度のWONDERLANDイヤーが重なるという奇跡のビッグ・イヤーを迎えたDREAMS COME TRUE。次なる節目となるデビュー50周年を目指し、さらなる高みへと昇り続ける彼ら。新たな歴史の1ページを飾るべく、まずはこのプロジェクトに込められた情熱や想いを感じ取ってほしい。
渡辺志保
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