ここ最近、DREAMS COME TRUEのリリース・ツアーで突如乱入して話題をさらったり、自らのユニット名の由来ともなっているザ・ピーナッツのトリビュート盤に参加して抜群の歌唱を披露したり、静かなざわつきを提供しているFUNK THE PEANUTS。彼女たちの新曲が、なんと20年ぶりにリリースされることが決定した。
20年と一口に言えば簡単だが、20年前といえばサブスクも配信もなかった時代。隔世の感とはこのことだ。そこで気になるのは、彼女たちがどのような新曲を世に出すのか、というところ。
「SPOIL!」と題された新曲の一番の聴きどころは、何と言ってもRINとMIWAの掛け合いのヴォーカル、そして、こじらせ女子必聴の歌詩だ。私をスキーに連れてって! ならぬ、あたしをたっぷり甘やかして!という心の叫びは、でも厳しかったら無理しなくても……的にどんどん自らハードルを下げ、最終的にはお互いに突っ込み合うというファンピー定番の流れに。
圧倒的な歌唱力とコミカルな井戸端的やり取りに透ける女子の本音、何十年経ってもそこは不変のファンピーの魅力だ。一方で、トラックはというと、こちらは一切の甘えを許さないソリッドなもので、歌い踊るRIN & MIWAに厳しい現実を突きつけるかのようなモダンなアプローチが絶妙で面白い。
そう言えば、ライヴに登場する時の彼女たちの衣装が、竜宮城の乙姫様みたいなものだったことを考えれば、時代感覚というものを超越して、良いものは何年経とうが良いものなんですわよ、おほほ、とたしなめられたような気分になる。
いやあ、じつにたくましい。これほど普遍的な歌声もなかなかない。カップリングには、冒頭に触れた、ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」のカヴァーヴァージョン、それに、「ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイッ!/恋の罠しかけましょ〜FUNK THE PEANUTSのテーマ〜」、「太陽に口づけを!〜あたしたち、真夏のFUN・P〜」といった代表曲のライヴヴァージョンと、DREAMS COME TRUEの提供楽曲のセルフカバー「ね、がんばるよ。」を収録。
とりわけライヴ音源は、これまでそんなにステージに登場する機会が多かったわけではない二人のパフォーマンスを体感できる貴重なものだ。
そして忘れてはいけないのが、今年がDREAMS COME TRUEのデビュー30周年イヤー&ワンダーランドイヤーという重要な節目に当たる年だということ。これまでドリカムの活動に華やかな彩りを添えてきたファンピーの二人。重い腰を上げて(失礼!)、このタイミングに久々のリリースをしたのも彼女たちなりの忖度、いやいや、もちろん友情です。
記念すべきDREAMS COME TRUEのスペシャルイヤーに、これ以上ない強力で賑やかな援軍がやって来た。
TEXT by 谷岡正浩