2024.7.6,7

ドリカムとドリカムの日」

吉田美和の故郷、北海道池田町で実現した
ドリカムの原点と未来を感じられるアニバーサリーイヴェント

 7月7日は七夕。そして、年に一度「夢が叶う」日ということで、「ドリカムの日」に認定・登録されている、というのは広く知られた話。

 そんな記念日に前夜祭を含めて2日間の日程で開催されたのが「ドリカムとドリカムの日」だ。吉田美和の故郷である北海道池田町のランドマークとなっている池田ワイン城の設立50周年とDREAMS COME TRUEのデビュー35周年のダブル・アニバーサリーを記念して行われたスペシャルなイヴェントとなった。

 不可能と言われた北の大地でぶどう畑からワインを生産するという途方もない夢にチャレンジした池田町の歩みと、そこで生まれ、育まれた吉田美和の音楽が緑に包まれた丘をぐるりと駆け巡ってオーディエンス一人ひとりに帰ってくるという体験は、普段のライヴではなかなか得られない貴重なものとなった。

 このイヴェントの最大の特徴は、食も含めた様々なカルチャーがクロスオーバーして楽しめるということだ。十勝ワインと葡萄ジュースが飲み放題!という大盤振る舞いのサービスに驚かされつつ、ずらりと並んだキッチンカーで提供される、ワインに合う極上のメニューとのマリアージュに多くの参加者が舌鼓を打っていた。

そして注目の映画のプレミアム公開も行われた。7月6日(土)に公開されたのは、映画『カミノフデ〜怪獣たちのいる島〜』(7/26全国公開)。この作品の監督を務めたのは、『ゴジラ』や『ガメラ』などを生み出した怪獣造形の礎を築いたレジェンドである村瀬継蔵。池田町出身だ。当日は、映画の中で大暴れするヤマタノオロチがワイン城内に展示され、村瀬監督も実際に訪れるなど、大いに盛り上がった。また、池田町つながりということもあり、DREAMS COME TRUEが担当した映画の主題歌「Kaiju」がエンドロールで流れると大きな拍手が沸き起こった。

7月7日(日)には、堤幸彦監督作『Page 30』(2025年、春公開)のプレミアム上映が実現した。この作品の音楽監督を務めたのが中村正人で、演劇と映像と音楽、現実と夢想が交錯する新感覚ムービーの劇伴ではなんと上原ひろみが即興的なピアノを披露し、メインテーマの作詩を吉田美和が書き下ろすなど、かなりスペシャルなものになっている。堤監督とともにステージに登壇した4人の主演女優が華を添えた。

さらに、ファッションも重要なコンテンツを担っていた。世界的なファンションデザイナーであり、1991年からドリカムの衣装の数々を手がけてきたKEITA MARUYAMAが、ワイン城に特設展示された『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TURE WONDERLAND 2023』で実際に着用した衣装と、ワイン城に近接するDCT garden IKEDAに展示してあるこれまでのツアーや紅白歌合戦出場時などに着用した衣装にまつわる制作過程や思い出などの貴重な話を中村とともに語っていった。

そうした様々なコンテンツの中核をなすのはもちろん音楽だ。両日ともイヴェントのトップを飾ったのはJUON。アコースティックギター1本でのステージとは思えないエネルギッシュなステージで会場を盛り上げた。7月7日(日)には、ドリカムのサポートギタリストとしても知られる武藤良章が加わり、アンコールの大合唱が起こった。

7月6日(土)に行われた「ドリカムの日前夜祭」のトリを飾ったのは、「ドリカムディスコ2024 in IKEDA」。珠玉のドリカムナンバーをディスコミックスした音源をDJ KING MASA(中村正人)がノンストップでスピンし、ドリカムのステージには欠かせないパフォーマー、S +AKS-2(GOTO、SHIGE、INO-D)がキレキレのダンスで盛り上げた。さらにそこに池田町選抜ダンサーズとして、地元の小学生や中学生を中心としたキッズたちも加わり、「決戦は金曜日」では吉田美和命名の“ネオ盆踊り”の巨大ループが出来上がった。

2日間の最後に行われたのは、DREAMS COME TRUEのライヴ。ACOUSTIC風味の編成で行われたステージは、この編成だからこそ池田の大自然とマッチングした特別なハーモニーを奏でたショーになった。トータル9曲のミニライヴではあったものの、セットリストは吉田美和完全責任編集で、彼女の感じる“池田町の風景”が織り込まれた楽曲がラインナップされた。だからこそ普段のライヴではなかなか聴くことの出来ないレアな選曲となった。「たんぽぽの堤防」「ALMOST HOME」では、歌詩の言葉がそのまま目の前に現れてくるようで、特別な体験となった。中村もMCで触れていたが、この景色が吉田美和の音楽になっているのだと思うと感慨深いものがある。さらに「Kaiju」がライヴで初披露された。この曲もまた、池田町の風景が息づいているものであり、楽曲として持つ、創作することへの飽くなき情熱を手放してはいけないというメッセージが力強く響いた。

ドリカムの日にはやっぱり聴きたい「7月7日、晴れ」に続いて、ラストに披露したのは「その先へ」。そこに込められていたのは、未来への願いだ。ワインも、映画も、ファッションも、音楽も、その創作の原点が感じられること――それがこのイヴェントの描き出した未来そのものだった。そして、こう問いかけられているような気がした。

あなたの叶えたい夢は何ですか?

DREAMS COME TRUEの原点を感じながら、どこまでも続く緑色の丘を見渡すと、ここからどこへでも行けるような、ポジティヴな気持ちになった。

2015.10.4

DREAMS COME TRUE in 池田町 秋のワイン祭り

2015年10月4日、快晴。北海道・池田町で今年42回目を迎える「池田町秋のワイン祭り」が開催された。ワイン祭りは、炭火バーベキューの食べ放題、元祖牛の丸焼き、そして十勝ワインの飲み放題という美味しいもの好きにはたまらない、十勝を代表する秋のイベントとあって毎年たくさんの人でにぎわうのだが、今年は一段と多くの人で盛り上がっていた。なぜなら、DREAMS COME TRUEのミニライブが予告されていたから!「DCTgarden IKEDA」がオープン10周年を迎え、池田町民のみなさんやお客さんとお祝いしたいと、DREAMS COME TRUEが提案して実現したスペシャルなライブに、池田町のみなさんだけでなく、日本全国のドリカムファンが足を運んでいたのだ。ライブ会場となったのはワイン城横のイベント広場。視界の先にはどこまでも緑の平原が広がり、その上には秋晴れの空ーーと絶好のシチュエーション。ステージ前の芝生の上では5000人もの人々がドリカムの登場をワクワクした表情で待っている。大きな拍手と歓声に包まれて、バンドメンバーが登場。続いて中村正人が手を振りながら現れると、会場のみんなも一斉に振り返す。そして最後に両手をぶんぶんと振りながら吉田美和が登場。割れんばかりの拍手と歓声で迎えられると、全身でよろこびを表すようにぴょんぴょん跳ねがなら「ただいまーーー!」とシャウト。「晴れたーーーー!もう穏やかすぎてのどかすぎて、涙出てくる!」と、あふれる涙をぬぐいつつもいつもの最高のスマイルを見せると「『ようこそ池田町』の人もたくさんいるんだね。ようこそ、ようこそ、ようこそ、わがホームタウンへ!」とあいさつをして、「晴れたらいいね」をまさに晴れた空の下で披露した。

「久しぶりにあれやろう。池田町のみなさまにはね、なんの曲だか知らない人達もたぶんいっぱいいらっしゃると思うだけど…12時と5時に鳴っているオルゴールの時報。合いの手に“♪TO・KA・CHI TO・KA・CHI”っていうのがあるから、みんなで言うこと!」吉田のそんな言葉で、次の曲が始まるのかと思いきや、「えっと、ちょっと段取りを忘れてました」と中村。吉田も「あ、そうだ。大事なこと忘れた!」と思い出したようで、「みなさんと一緒に写真撮影を」ということで、オーディエンスをバックに記念撮影タイム。なぜライブが始まって早々のタイミングかというと、なんと撮影後すぐにこの写真を載せた十勝毎日新聞のスペシャルラッピング号が配られるという、心憎い演出のため。ということで、写真撮影をはさんでちょっぴりフライングで紹介した「ALMOST HOME」へ。ホームタウンに響く強くて温かい歌声に聴き入っていたオーディエンスも、「せーの」の合図で「“♪TO・KA・CHI TO・KA・CHI”」の大合唱。ちびっこも大人たちもおじいちゃんもおばあちゃんも、みんなが楽しそうに「“♪TO・KA・CHI TO・KA・CHI”」と声を合わせている。曲が終わり「みんなの青い空と顔を見ていたら、涙ちょーでてきた…こんにゃろう!」と感極まる吉田を見守っていた中村も、「沁みますね、この詩がね…すべて沁みました。いやー、もらい泣き」としんみり。「大泣きの美和ちゃん次は?」「次はアレ行く!」といった会話に続けて「LOVE LOVE LOVE」のイントロが鳴り続くと、わーっという大歓声が。抜けるような青空に吸い込まれていく歌声にうっとり耳を傾けているオーディエンス。

「舞い上がってるな、俺」(中村)「私も舞い上がってる」(吉田)「東京から飛行機で飛んでくるとき、爆弾低気圧でどうなるかと思いましたけど、今日はこんな青空で、みなさんのおかげです」(中村)和やかな会話をはさんで「うれしい!たのしい!大好き!」。全員で声の限り歌う「大好き!」のフレーズが、この曲のポジティブなパワーを増幅させていく。ヒット曲連発でどんどんテンションが上っていく中、「決戦は金曜日」のかけ合いでボルテージが最高潮に達すると、「みんなでこの曲で行き切るよ」と吉田。「最後の曲です」という中村の言葉に「えーっ」と惜しむ声が上がるものの、「何度でも」のイントロに反応し歓声の声へ変わっていく。サビで大合唱が起こると「叫べ、池田ベイビーズ!もっと!」とあおる吉田。祈りのような前向きなフレーズが、大きな空に、広い大地に、澄んだ空気に溶けて、拡散していく。そうだ、空はこんなに広かったんだ。大地はどこまでも続いていたんだ。空気はこんなにも爽やかなんだ。そんなことを実感させてくれた、池田町での野外ライブ。アンコールを受けてステージに戻ってきた吉田が会場のすみずみを見渡しながら「すごーくいい秋の一日だ。しかもまだお昼ちょっと過ぎでしょ?サイコーだね」と目を細める。そして「あ、でもアンコール、練習してきました?」と中村に振られると、「またそんなこと言って!もしも一人か二人でも言ってくれたらやろうって、一応練習してきました。」そんな彼女の言葉に拍手喝采を送るオーディエンスへ思いを込めて、アンコールでは「サンキュ.」を披露するも、最後も涙なしでは歌えなかった。「♪今日はホンとサンキュ.、サンキュ.、サンキュ.、サンキュ.… ありがとう〜」と思いの丈をメロディーに乗せて、感激の涙とともに17年ぶりとなった故郷でのライブは幕を下ろしたのだった。

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