「マサさん、明日、スタジオいくよ。」
まだまだ力強い声ではないけれど、吉田さんからそう言われた時の僕の気持ちを表現するのにピッタリな写真が撮れたので、UP。
深い森の中に迷い込んで途方に暮れていたある日、ふと顔を上げると、静寂のなかで、真っ青な空に一本の飛行機雲が延びて行くのを見つけた時のような気持ち。
飛行機雲にはとうてい触れることはできないが、でも確かに見えたという事実だけで、喜びで胸が一杯になる気持ち。
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時が経てば、と言うにはあまりにも早過ぎる。
とはいえ、あの日から、一日一日は永遠のごとく長く感じられる。
時間とともに、悲しみは、心と体の隅々まで染み込むように、深くなる。
見るもの、聞くもの、触れるもの、口にする言葉の全てが、愛する人に繋がり、そのことによって、真っ黒な海の底に引きずり込まれるがごとく、見えはじめたはずのかすかな光さえ、見えなくしてしまう。
本人以外には分かり得ない気持ちを抱えながら、吉田さんは、小さな一歩を踏み出そうとしている。