富野監督とお話をしていると、とても幸せになるのです。
僕の20代、つまり、仕事の基本を叩き込まれた時代、独創的で、いつも熱く、激しく、アグレッシヴで、執念深く、諦めない、まさに富野監督のようなカッコいい先輩達が、僕の師匠であり、指導者でした。
そのころの僕は、甘ちゃんの上頭でっかちで、くそ生意気なことばかり言っていながら中身がからっぽだったので、とにかく先輩によく怒られました。
怒鳴られるなんてのは当たり前。
鉄拳が飛んで来たことも、フライパンが飛んで来たこともありました。
で、
「夜イヂ」で、富野監督がスタジオに入られた瞬間、僕は幸せになってしまったのです。
なぜなら、監督は、僕の師匠達と同じ匂いを持った、あこがれの先輩だったからです。
そんな先輩達といる時は、僕は彼等に必死でついて行くだけで良かったのです。
ただ怒られて、頑張るだけでよかったのです。
そのかわり、進むべき道は彼等が示してくれました。判断も彼等が全て下してくれました。
万が一、彼等の期待に応えることが出来れば、評価してもらえました。褒めてももらえました。
これは、生きて行く上で、とても幸せなことです。
進むべき道を示し、自分と人を評価し、自ら決断し、自ら責任を取らなければならない、あの頃の「先輩達」の立場になった今、富野監督という先輩の話を聞き、その中から教えを頂くことができたその時間は、僕にとっては久々に訪れた至福の時間でありました。
富野監督に「おまえは〜」と言われた時の安心感と心強さは、ちょっと表現できないぐらい、僕を幸せにしてくれました。
「夜イヂ」という番組がなければ、こんな想いはできなかったでしょう。
感謝、感謝。
そんな僕の監督に対する態度に、ガンダムマニアにはカチンと来ることもあったかもしれません。
どうかご勘弁を。
富野監督、またいつか、お話を聞かせて頂けたらと願っています。
ありがとうございました。
収録後「よしだみ」も、しきりに「素敵なかただったねぇ〜」と繰り返していました。