「ドリカムのヒゴさん、キーボードの」
2013年も
「FANCL presents
裏ドリワンダーランド2012/2013」
を全力で走りまくるべく、走りまくった
2012年をリセットしようと、しばし本州
から離れたところで(だから、沖縄だって
ば)リラックス、あーんど、リフレッシュ
な約一週間弱。
たまたまランチのために立ち寄った沖縄料
理店で、そのお店の料理長(女性)に声を
かけて頂いた。
彼女の手には「色紙」が2枚。
それをめざとく見つけた僕は、ちょっと鼻
膨らましながら、こう思った。
『おお、オレも有名になったもんだ。よし
だみが隣りにいなくたって、自ら名乗らな
くたって(当たり前だ)、化粧してなくた
って(全くもって当たり前だ)、「ウラワ
ン!」のスタッフTシャツ着てなくたって
(ふざけるな!)、ドリカムの中村だって
バレちゃうもんねぇ』
すると予想通り彼女が言った。
「あのー、申し訳ないですけど、サイン頂
けますか?」
なんて丁寧、ヴェリーポライト、やさしい
笑顔。
せっかくのお声がけ。
料理長に僕との思い出を少しでもいいもの
にして頂くために、ユーモアにかけてはず
ば抜けたセンスがある僕は、冗談のつもり
で、こう切り返した。
「あははは、サインなんて光栄だなぁ。た
だ、僕の名前をご存知じゃなきゃ、サイン
しませんよぉ。ははははは」
すると料理長、満面の笑みでこうおっしゃ
った。
「わたし、ずっとドリカムの大ファンなん
です」
「わー、ありがとう!」
「大阪のライヴも行きました!」
「わー、ほんとにぃ!じゃ当然、僕の名前
もご存知のはずだぁ。さっすがぁ」
「もちろん!」
「じゃあ、僕の名前はなぁーんだ?」
「ドリカムのぉ・・・」
「ドリカムのぉ?」
「ドリカムのぉ・・・・・・・・・・・」
この時点で、僕は多少の失望感とともに、
当然のごとく察したのであった。
『ああ、やっぱりね。オレの 名前はわか
らないのねんのねん。ちょっとショック、
フナムシチョーック!』
その次の瞬間、料理長から発せられた言葉
に、僕は驚愕した。
彼女はちょっと口の中でモゴモゴしながら
こう言ったのだ。
「ヒゴさんですよね?」
『え!!!!!!!!!!!』
僕の心の中で、僕の一番大切にしていた何
かが(それはなんだ?)、あっという間に
破壊されてゆくのを感じながら、なんども
口には出さず繰り返した。
『え!!!!!!!!!!!』
『え!!!!!!!!!!!』
『え!!!!!!!!!!!』
心の中の破壊された何か(だから、それは
何なんだ?)にまみれながらも、僕は必死
で考えた。
『ちょっと待てよ。彼女は、実は本気で、
僕をダチョウ倶楽部の肥後さんと間違えて
いるのかもしれない』
さらに僕は、真っ白になっているにも関わ
らず、恐ろしく冷静な頭で考えた。
『そうだ、そうにちがいない。だから冗談
で「ドリカムのヒゴさんですよね」なんち
ゃって言ったに違いない。なんてジョーク
の上級者なんだ。ははははは。でも、僕が
本物のドリカムだって気づいたら、たいそ
うびっくりするだろうなぁ。うひひひひ』
水戸のご隠居の印籠のごとく、ダチョウ倶
楽部の肥後さんじゃなくて、ドリカムの男
のほうの本物であることを彼女に告白する
ことで、この不利な戦況を一挙に打開しよ
うする僕。
「ははははは。ダチョウ倶楽部の肥後さん
だと思ってたんでしょう?まったぁ。もう、
冗談うまいんだからぁ。でもね、残念でし
たぁ。僕、ホントのドリカムの・・・」
「だから、ヒゴさんですよね!キーボード
の!」
そんなわけで、僕は、きっちりとサインを
書いて、この貴重な経験を決して忘れるこ
とのないよう、彼女と写真を撮ってもらう
ことにした。
去年は「ウラワン!」において「ソーセク
シー中村、ちょう拡散&浸透しつつあるよ
ねぇ」なんて、スタッフに自慢しながら自
惚れていた僕にとって、現実を知るという
意味で、この出来事に心から感謝している
(本当に感謝してるってば!)。
2013年。
ただならぬ幕開けであった。
おーしーまいっ!
ニヨから、新年あけおめメール(っていっ
ても、昨日送ってきた。昨日だよ。彼にと
っての僕に対するプライオリティーが、去
年に比べて、確実に落ちていることを物語
る)に返事しなきゃ。