一日は何時間?
「ごめんクサァーーーーーーーーーイ!」
「なぬーーー!? 現場監督ぅ!?何でインターホン押さないで、でっかい声出してんのよぉ!!!」
「す、すいません。インターホンで私だとわかったら、入れてもらえないと思ったんで。」
「そうだね。」
「・・・。」
「で、何か用? もちろん当然、完璧に、言わなくても分かってるだろうけど、キミと一秒も話していられないくらい、僕は忙しいんだよ!!!」
「重々存じてます。しかし、ひ、ひまわりが・・・。」
「えっ!?」
「家の庭に、ひまわりが咲いて、私のヘルメットとオソロイになったもんで、中村さんにどうしても見ていただきたくて。」
そう言うなり彼は、前回と同じく、唖然とする僕に無理矢理写真データを渡すと、走り去って行った。
★ ★ ★
やばい、やばいよー、本当にやばいよ。
WOWOWの音源制作、時間が無くなって来ちゃったよー。昨日も16時間作業したけど、まだやらなければならない事が気が遠くなるほど、残っちゃってるよー。スケジュール通りに完成させるなら、1日、28時間以上作業しないと、間に合わないよー。
「ココで問題です。一日は何時間でしょう?」
答えられません。意地でも答えられません。答えてしまうと、期限内で終わらない事がはっきりしてしまいます。
「わっかりま せーん。」
by 大将「よしだみ」 と 「三匹の侍」
それでいいのだ。行けるとこまで行くしか無いのだ。明日は明日の風が吹く。
この世の中、何が起こるか分からない。
もしかしたら、地球の自転が突然遅くなって、一日が50時間ぐらい掛かるようになるかもしれない。あるいは、3日進んで2日戻るかもしれない。明日、タイムマシーンが一般発売されるかもしれない。
WOWOWのプロデューサー イシガキさんが、オンエアーを一ヶ月間違ってしまうかもしれない。
「それだけはっ!絶対にっ!!あ り ま せ ん か ら ー っ !!!」
by WOWOW 「イシガキ」
★ ★ ★
すっかり頭を抱えてしまった僕は、何かに導かれる様に、あの現場監督が残して行った写真のファイルを開けていた。すると、なんともう一枚写真が入っているではないか!
恐る恐る開けてみると、
「なぬーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
「バ、バナナとも、オソロイ だったのかーーーーー!!!」
(注)今回の写真撮影は、現場監督の上司、吉田ヨシカズ専務。あしからず。