音楽は、永遠に生き続ける。
僕がこの世で最も尊敬し愛するサックス奏者、マイケル・ブレッカー氏がニューヨークの病院で、13日、57才でこの世を去った。(The New York Times January 14. 2007)
彼の早すぎる死に、僕は正直、激しく動揺している。
この写真は、「THE BRECKER BROTHERS」の第3作、「DON'T STOP THE MUSIC」というアルバムのジャケットのB面で、僕が大好きな写真のうちの1枚だ。
僕は、彼の熱狂的なファンで、数限りない彼のソロのほとんどを覚えて口ずさめるくらいだ。(こう自慢する人は、世界中に沢山いるはずだ。)
彼の来日公演に至っては、見逃したものは、無いかもしれない。
60年代から、ジャズ/フュージョンのみならず「歌もの」ポップスまで、彼が音楽界に与えて来た(そしてこれからも永遠に人々をインスパイヤーし続けるであろう、)影響は、計り知れない。
その偉大さは、コルトレーンに並ぶものだと信じている。
唯一無二のフレージング、アーティキュレーション、和声、作曲。
それらを可能にした脅威のテクニック。そのテクニックを裏打ちする想像を絶する不断の努力。
サックスというジャンルではとても収まりきらない、まさに、音楽そのもののイノベーターである。
彼の歩んだ後に出来た様々な道のことを考えると、その偉大な業績に、音楽家の端くれとして、頭が下がるばかりだ。
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そんな彼と、僕は2回、仕事をさせてもらった。
いずれも、吉田美和のソロアルバム「beauty and harmony」と、その「2」の時である。
「2」のレコーディングでは、忙しいスケジュールの中、明朝早く香港に出発ということで、顔色も優れず心配だった。
元「タワー オブ パワー」のグレッグが、「ブレッカー兄弟」のためにブラス・アレンジをするという、プロデューサー冥利に尽きるセッションだった。
ぎっしり譜面に書かれた音譜を見て、マイケルが、「こんなに譜面読む仕事、久しぶりだなぁ。」と最初は渋い表情だったのが、兄ランディーとレコーディングを進めるうちに、「なんだ、たまには、こういうのも楽しいじゃないか!」と言って笑顔を見せてくれた時は、僕は嬉しくて、死にそうだったことを覚えている。
彼が病に倒れたのは、その直後だった。
多くのミュージシャンが、彼を助けようと努力した。様々なジャズフェスでもキャンペーンが行われた。
しかし、皆の願いは、残念ながら届かなかった。
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マイケル・ブレッカーの音楽は、永遠に生き続ける。
そして、" DON'T STOP THE MUSIC! "