7月7日、晴れ
「すいませーん。あのー、ひと通りスタジオの改修工事終わりましたんで、チェックしていただきたいんですが。」
「あっ、現場監督!そーですかー。ご苦労様でした。
で、まずは、
トイレ、OK。エアコン、OK。インターネット、OK。 照明、OK。
「すんません、管制塔のレーダーシステム一式と浄水器は、来週納品になっちゃいます。業者さんにストック置いてなかったもんで。」
「だいじゃぶだいじゃぶ。MYジェット機( yorimo 参照。)、週末は使わないから。
あれ!? ところで、何 持ってるんですか?」
「いやだなー、中村さん。今日は、これの日じゃないですかー。」
というわけで、現場監督が、頼んでもいないのに、また「おすすめのCD」を持参して来た。
★ ★ ★
このアルバムは僕にとって、とても大切な作品だ。
なんてったって、初めて映画音楽を担当させていただいたのだ。
「映像はお客さんを感動させる事は出来るが、そのお客さんに涙を流させるのは、音楽だ。」(こんな感じの表現だったと思う。)とは、某有名監督の言葉とか。
それほど重要な映画音楽を、一度はやってみたい。
そんな願いをずっと抱いていた。
「7月7日、晴れ」1996年作品
国際的スーパースター「望月ひなた」と、平凡なサラリーマンの奇跡のラブストーリー。
監督は,本広克行さん。「踊る大走査線 THE MOVIE」を初め、大ヒット連発。なんと、「7月7日、晴れ」は、本広監督にとっては初めての映画作品となった。
主演は、観月ありささん。始まったばかりの「CAとお呼びっ!」でも大活躍。
「やっぱ〜、観月さんは〜、ああいう役をやらせたら、天下一品でんなァ〜。一回目から、すっかりハマリましたわァ〜。」
某コマーシャルで2回、音楽でご一緒させていただいたばかりでなく、いろいろと、「ご縁」がある。映画のラッシュを見ながら音楽を書いている時も、彼女が演じた、スーパースター「望月ひなた」に、男女の違いはあれども、随分と感情移入したものだった。
なぜって?
「スター」には「スター」にしか分からない
恋の悩み が あるからだ。
「はい、はい、いってなさ〜い。」
この映画に、「ご縁」がある方がもう一人。
なんと、あの、ちょー感動大ヒット作!
映画界、音楽界で話題騒然!
カンヌ も、 アンヌ も、 モロボシダン も、びっくり!
(大学時代同級生だった)一色伸幸 大先生、脚本。
(映画音楽の師匠)大谷幸 大先生、音楽。
(実は、高校の後輩だった)「電車男」の伊藤淳史さんも、
(こんな男になりたい)「海猿」の夏八木勲さんも、
(ちょこっとだけだが)「NANA」の宮﨑あおいさんも、
(親戚ではないが)「ダチョウ倶楽部」の肥後克広さんも、
(お世話になってる)「飛び出せ!青春!」の剛たつひとさんも、
(声だけだけど)陣内孝則さんも、
ほか、素晴らしい役者さんが出演してくださった、2週間オールロケなのに二回も台風に襲われた、予算の都合で46分の尺がいっぱいいっぱいだった、
(やはり予算の都合で、)ドリカム初主演(してしまった。)
究極の自主制作映画
の監督、森淳一さんが、「7月7日、晴れ」の助監督だったのだ!
「ほんま、ずいぶん、かかったなァ〜〜〜。」
そこに、また、あの現場監督がやって来て、こう言った。
「すいませーん、あのー、その DVD 、持ってるんですけど。
本編より長いドキュメンタリー映像だったり、桃井田ハチの手帳だったり、サントラCDがついてて、すごくお得ですよねー。」
彼のことが、好きになってゆく、僕がいる。