松 山 べ イ べ ー ズ !!!
快い緊張の中、ステージのポジションに立ち、準備万端。
そして、厳かに幕が上がると、
「ありゃーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
お客さん、いなーーーーーーーーーーーーい!!!」
僕は、無様に、あたりかまわず当たり散らす。
「だから、あんだけ、言ったじゃない!
ドリカム、このホール、一杯になんか出来ないってー!
どうすうんのよー、どうすうんのよー、
どーーーすうんの よーーーーー!!!」
ベッドを思いきりパンチしながら目覚める。しかし、起きた後も、怒りと興奮覚めやらず、しばらくのあいだは、ベッドと異種格闘技戦。散々暴れた後、ボトル一本ググッと水を飲んで、漸く終了。
「あー、疲れたー。」
ツアーが近づいてくると、必ず見る「夢」。
まっこと幸いにも、まだ、「正夢」にはなっていない。
★ ★ ★
「夢」のパターンはもう一つある。
「厳かに幕が上がる」ところまでは一緒。
ドラムスのユッキーのカウントが入る。
「ワン!ツー!スリー!フォー!」
すると僕は、一曲目を全然練習していなかったことに、気付く。
一音も弾けないで狼狽えるばかりの僕に、お客さんからブーイングが飛ぶ。
「なにやってんだー!中村ー!」
どんどん、帰りだす、お客さん。
僕は、無様に、あたりかまわず当たり散らす。
「だから、あんだけ、言ったじゃない!
この曲練習してないって!!!なんでリハのスケジュール入れてくれなかったんだよー!
どうすうんのよー、どうすうんのよー、
どーーーすうんの よーーーーー!!!」
以下、ベッドとの「異種格闘技戦は」一つ目のパターンと同じ。
これも幸い、「正夢」にはなっていない。
★ ★ ★
実に、これらの「夢」をプロミュージシャン生活25年を過ぎた現在でも、見てしまう。
いくら、
「肝っ玉ちっちゃい杯 ビビリ選手権 世界ランク第5位」の僕とはいえ、かなり情けない。優しい人は、「プレッシャーですよ。」なんて言ってくれるのだが、そんなカッコいい表現とはほど遠い、僕の心模様なのだ。
そんな、ビビリー中村(話は横道にそれるが、僕は「イジリー岡田」さんの密かなファンだ。ネーミングと芸風が秀逸。ギルガー メッシュ!)が、今日も決死で「ハート揺さぶり大合戦」で挑むのは、この、すんばらしー皆さん!
ドリブログ掲載了承済み、完璧印、夏目漱石公認、