彼女の得意技
「あらぁあああ!!!こんな所にいらっしゃったんですかぁ。もぉ、あちこち探しまわりましたよぉ。お出掛けになるなら一言おっしゃって頂かないとぉ。わたくしのマネージャーとしての立場も少しは考えてくださいよぉ。」
『でもね、あなたの立場ばかり考えてないで、たまには僕の立場も考えてくれないと・・・』と、言いかけたが、無駄な抵抗と百も承知している僕は、もんじゃ焼きと一緒にその言葉を飲み込んだ。
ここで確実なのは、A嬢が「あちこち」探し回ってなんかいないということだ。なんでも物事を大きく表現するのが彼女の得意技。A嬢の恐るべき情報網を使えば、僕の居場所なんてインターネットの検索 yorimo はるかに「お茶の子さいさい DE 朝飯前」なのである。
レコーディングと「ナニ」の撮影のダブルブッキングを見事に完走した僕は、ニューヨークから来ているアーティストを連れて下町に繰り出した。ほらね、プリプロをちゃーんとやっておいたおかげで「本ちゃん」はバッチリ。ダブルブッキングになっても即対応可能なのだ。すなわち、A嬢になんだかんだ言われる筋合いは無いのであーる25。
そこに無理矢理「筋合い」を作るのも彼女の得意技。
「それにしても、奇遇ですわぁー。わたくしも昨晩、もんじゃ焼きの夢を見たんですのよー。これも、いつもわたくしが頑張っているご褒美なのかしらー。せっかくですからゴチになりますわっ!ほほほほー!はいはい、お箸とお小皿もう一セット!」
ほとんど満腹になっている僕らに構わず、彼女は「もんじゃ焼き〜カレー味〜ホタテ、豚肉、イカトッピング+そば2玉」と「焼きそば」と「キムチ」と「タマネギの酢の物」と「キュウリのお新香」を追加。普段はおにぎりでさえ妹に作らせるのに、「今日だけは」もんじゃ焼きを見事な手さばきで完成させる。
あまりにも見事だったので、僕のピース付き DE 画像をUP。
★業務連絡★
僕は断じて「もんじゃ焼きで指にマメ」作りませんから。
あしからず。