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毛の生えた矢印

 

どんなに名前を呼んでも、彼は振り返ってもくれない。

 

ベッドカバーの色と、ほとんど同化しちゃってる、メチャクチャ不機嫌な「コイツ(0813)」の写真をUP。

 

彼の濡れた黒い鼻から、ため息ばかりが、出て来る。

大きく息を吸って、勢いよくため息をつく。まるで僕に当てつけてるみたいだ。

 

★ ★ ★


今朝、彼の「母さん」は、彼の水飲みと、その下に敷くタオルと、リーシュと、ウンチを入れるビニール袋と、チキンジャーキーを持って、僕のアパートに彼を預けに来た。

彼の「母さん」は、どんなことをしても彼を一緒に連れてゆく。以前、ドリブログにも書いた事があるが、遠い南の島のスタジオまで連れて行ったこともある。ひょっとしたら僕よりも色んな世界を見ているかもしれない。噂によると、バミューダトライアングルにも行った事があるそうだ。

だから「コイツ」は、納得がいかない。

 

『ナンデ ボク ガ、ヒトリ デ、アンクル『なか』ト ルスバン ナンダ。』


いや、ちょっと待てよ。彼としては、僕の面倒を見るのがイヤなのかもしれない。

それどころか、「コイツ」が僕に預けられたのではなく、彼が僕を面倒見に来てやったと思っているのかもしれない。

 

この気まずい雰囲気をなんとかしなくちゃ。

ちょっと彼のご機嫌を取ろうと、部屋の中を走り回ってみたりして、その時はその時で結構盛り上がるのだか、やっぱり、それだけ。

たちまち、もとの、めっちゃ不機嫌な態度に戻ってしまう。

それどころか、後半は、「母さん」が帰ってくるであろう方向を向いたまま、1ミリも動かなくなってしまった。まさに、「毛の生えた矢印」である。




たぶん、「忠犬ハチ公」も、同じ様に飼い主をひたすら待ち続けていたのだろう。

それなのに「コイツ」は、「忠犬」どころか、「頑固者」と取られがちな事実に、ちょっと僕の心は痛んでしまった。

僕は出来るだけ優しい声で、話し掛けた。

 

「もうすぐ『母さん』、帰って来るから。」


彼は、チョウチョのような耳を5ミリほど動かしたが、やっぱり振り向いてはくれなかった。

 

 

『モー マッタク ドウジョウ ナンテ シチャッテ。
 
ボク ハ タダ、オナカ ガ スイテル ダケ。』


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